パパのお父さんはへっぽこ小児科医

へっぽこ小児科医によるへっぽこ育児ダイアリー+α。父親と小児科医の視点から日本の医療と世相を斬って斬って斬りまくる、なんてことはなく、日々思ったことを綴ります。何かと大変な育児、読んでいただいた人に少しでもお役に立てれば良いのですが。。。

中学生が医者になりたいと言うとやめとけと思うのに病理医になりたいと言うと好感が持てる不思議

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どうも、あんきろさんです。

先日難関中学に合格したことで話題となった芦田愛菜さんがTVで病理医になりたいと発言して、下記のyahooニュースにあるように病理医の界隈が盛り上がっているようですね。

news.yahoo.co.jp

小児科界隈はあまり盛り上がるようなニュースはないので、羨ましい限りです。

どうやら、病理医を題材にしたドラマ「フラジャイル」に影響を受けたとのことですが、申し訳ないことに僕は1秒たりとも見ていないので内容についてコメントできないのが残念です。

僕は病理が結構好きで、小児科に行っていなかったら病理に行っていたと思っているので、なかなか渋くていいチョイスでぜひ応援したいところなのですが、もしこれが「医者になりたい」だったらきっとあんまり応援する気持ちにならなかったんじゃないかと思うんですよね。

以前に僕は「医学部受験について小児科医がちょっと語ってみるよ」という記事を書いていて、優秀な中高生が医師を目指して医学部を受験すること(優秀な中高生の親が医学部を受験させようとすること)に否定的な意見を述べさせていただいていますし、実際に医師になりたいと言う若人に会うと切々と現実を述べさせていただいているのですが、「病理医になりたい」と言われるとなんとなく「がんばって」と言いたくなります。

この差はなんなんでしょう?

まず思いつくのは、具体的に志望する分野が明示されているからということでしょうか。
「医者になりたい」だけだと、なんとなくの医者のイメージだけでそう言っているように思えますが、具体的に分野が明示されていると、本当にやりたいことがあるんだなと思えますし、何より「病理」という分野の選択が絶妙ななんだと思います。

これを読んでいる人は病理医にどのようなイメージを抱いているのでしょうか?
病理の先生には非常に申し訳ないですが、「イメージって言われてもちょっとよくわかんない」という人が結構多いんじゃないかと思います。
どんな仕事かはgoogle先生に聞いてもらえば教えてくれると思いますが、ざっくりと言うと、手術などで採取された組織を顕微鏡で見て診断をつける仕事です。
これまた病理の先生には非常に申し訳ないですが、患者さんを診察することもなく、もちろん患者さんを治療することもなく、一般の人が医者に対して抱いているイメージとは対極の位置にある存在と言っても過言ではないと思います。
もちろん非常に大切な仕事で、病理の先生がいなければ多くの医者、特に癌の診療に関わる医者はすぐに困ってしまうのですが、いわば縁の下の力持ちで表舞台に出てくることはほとんどありません。
そんな病理の先生になりたいということは、世間一般にある医者のイメージではなく、病理医という仕事に興味を持ってそれを志すということなんだろうと思いますし、これはもう応援せざるをえません。
ぜひ、がんばって勉強していい病理医になっていただきたいですね。

とはいえ、子どもの夢なんてすぐにコロコロ変わるので、病理医に限らずいろいろな夢を探して頑張っていただきたいものです。僕が偉そうに言うことでもないですが。
ちなみに、小児科医もいい仕事ですよ。

それにしても、冒頭のyahooニュースの記事にも書いてありますが、病理にとっては本当にいい宣伝になりましたね。
そもそものきっかけのドラマといい、なんだかんだ言ってメディアの力は大きいですね。
どこかのテレビ局さんで小児科のいいドラマ作ってくれないもんですかね。